自動販売機を設置すると、必ず毎月電気代が発生します。
知識のない素人が自動販売機の年代(古い・新しい)を区別するのは難しいですが、節電できないタイプの自動販売機は古く、節電できるタイプの自動販売機は新しいものとなっています。
なにが言いたいのかというと、節電できないタイプと節電できるタイプの自動販売機では、毎月の電気代が大きく違うということです。
節電できないタイプの古い自動販売機の場合、節電機能がないため常にフル稼働となり、毎月の電気代が約4000~6000円なのに対して節電できるタイプの新しい自動販売機の場合は毎月の電気代が約2000~3000円と、半額にまで抑えられることができます。
ちなみに、古い自動販売機と新しい自動販売機に関係なく、季節によって電気代が変動するということも自動販売機を設置する上で知っておいた方が良いでしょう。
季節によって電気代が変動する理由としては、商品の温度設定を変える必要があるからです。
夏は温かい飲み物を置いていなく、全て冷たい飲み物ですよね。
一方秋や冬になると1つの自動販売機に冷たい飲み物と温かい飲み物を置くようになります。
そのため自動販売機の内部では商品を温める機能と、商品を冷やす機能の2つを稼働させる必要があり、よって通常よりも電気代が高くつくということです。
自動販売機を設置した後の電気代について詳しく知ると、「設置するの辞めようかな?」「儲けを出すのが難しそう」「1年を通した電気代を考えたら手を出しにくくなった」などとネガティブな考えを持ってしまった企業や個人のオーナーさんも少なくないでしょう。
自動販売機の設置を少しでも前向きに考えているのであれば、電気代で損をしないためにもこれから紹介する3つに注意をすれば今抱えている不安を払拭できるかもしれません。
①節電できる自動販売機を選ぶ
自動販売機を設置後に電気代で損をしないようにするためには、節電できる自動販売機を選ぶことが非常に重要です。
最近は節電できるタイプの新しい自動販売機を取り扱っている業者も多いため安心ですが、何かの手違いや契約時の見落とし等で節電できないタイプの古い自動販売機を設置してしまうと電気代が高くなり元が取れない結果を招いてしまいます。
そのため契約をする際はなんとなくで対応するのではなく、決して間違いをしないように隅々までしっかりと目を通しましょう。
②複数の業者で相見積もりをする
自動販売機には色々なメーカーがあります。
設置する自動販売機にこだわりがないのであれば、損をしないためにも複数のメーカーや業者で相見積もりを行うことをオススメします。
ちょっと面倒な作業ではありますが、相見積もりを行うことで複数の会社を比較することができ、電気代以外にも損をしないで済むようになります。
③電力会社の見直し
電力自由化によって今は電力会社を自由に選ぶことができる時代です。
複数の業者で相見積もりを行うのと同時に、電力会社の見直しをするとよりオトクにすることができます。
オトクな電力会社を選ぶことで電気代を抑えられるだけではなく、基本料金も抑えることが可能になりますよ。
余談になってしまいますが、日本コカ・コーラでは、「ピークシフト自販機」の節電と省エネの実験で需給状況によって変動する電力料金(ダイナミックプライシング)での効果を実証しました。
その結果、ピークシフト自販機の商品1本あたりの電気料金は1.57円、従来型省エネ自販機は3.14円でした。
ダイナミックプライシング発動日の商品1本あたりの電気料金は従来型省エネ自販機に比べて半額となった。
ピークシフト自販機は、冷却用の電力を電力使用がピークになる日中から比較的余裕のある夜にシフトする仕組みとなっていて、商品の冷たい状態を維持しながら午前7時~午後11時の16時間の冷却用電力を0にしています。
こうしたことから従来型省エネ自販機に比べて電力消費を抑えることが可能となり、電気料金が下がったと言えます。
日本コカ・コーラでは、ピークシフト自販機の電力ピーク時に消費電力を削減する社会的ニーズに応えるだけではなく、ダイナミックプライシング発動時の電気代削減に繋がることが証明されたとしています。
自動販売機で月々かかる電気代は?
前項目で節電できないタイプの古い自動販売機の場合は毎月の電気代が約4000~6000円、節電できるタイプの新しい自動販売機の場合は毎月の電気代が約2000~3000円というお話をしましたが、自動販売機の設置で月々にかかる電気代は機種や設置場所、季節や利用状況等でも変わってきます。
これから紹介する電気代は、自動販売機を取り扱っているある業者が検証した1年間のリアルな毎月の電気代です。
設置場所は名古屋市某所で、2012年製ヒートポンプ式25セレという自動販売機を設置しました。
1月
自動販売機内状況:10・HOT/15・COLD
メーター数値:357.2
従来電灯B:10A
基本料金:273円
電力料金:2462円(17.05円x144.4kwh)【合計2735円】
2月
自動販売機内状況:10・HOT/15・COLD
メーター数値:471.9
従来電灯B:10A
基本料金:273円
電力料金:1955円(17.05円x114.7kwh)【合計2228円】
3月
自動販売機内状況:10・HOT/15・COLD
メーター数値:531.1
従来電灯B:10A
基本料金:273円
電力料金:1009円(17.05円x59.2kwh)【合計1282円】
4月
自動販売機内状況:25・COLD
メーター数値:365.4
従来電灯B:10A
基本料金:273円
電力料金:585円(17.05円x34.3kwh)【合計858円】
5月
自動販売機内状況:25・COLD
メーター数値:600.9
従来電灯B:10A
基本料金:273円
電力料金:605円(17.05円x35.5kwh)【合計878円】
6月
自動販売機内状況:25・COLD
メーター数値:647.3
従来電灯B:10A
基本料金:273円
電力料金:791円(17.05円x46.4kwh)【合計1064円】
7月
自動販売機内状況:25・COLD
メーター数値:703.8
従来電灯B:10A
基本料金:273円
電力料金:963円(17.05円x56.5kwh)【合計1236円】
8月
自動販売機内状況:25・COLD
メーター数値:776.1
従来電灯B:10A
基本料金:273円
電力料金:1506円(17.05円x72.3kwh)【合計1506円】
9月
自動販売機内状況:25・COLD
メーター数値:831.1
従来電灯B:10A
基本料金:273円
電力料金:938円(17.05円x55kwh)【合計1211円】
10月
自動販売機内状況:25・COLD
メーター数値:887.0
従来電灯B:10A
基本料金:273円
電力料金:953円(17.05円x55.9kwh)【合計1226円】
11月
自動販売機内状況:10・HOT/15・COLD
メーター数値:973.1
従来電灯B:10A
基本料金:273円
電力料金:1468円(17.05円x86.1kwh)【合計1741円】
12月
自動販売機内状況:10・HOT/15・COLD
メーター数値:1085.7
従来電灯B:10A
基本料金:273円
電力料金:1920円(17.05円x112.6kwh)【合計1920円】
自動販売機の知識が貧しい素人が見ても分かるように、寒い時期になればなるほど電気代が高くなっていますよね。
また、全ての商品が冷たい月は比較的電気代が安くなっているのも分かったかと思います。
季節によって電気代は大きく変動するので、「毎月の電気代は○○円」と一言で言うのは難しいです。
ちなみに自動販売機の電気代は、自動販売機に記載されている年間消費電力から月々の平均電気代を算出することができます。
例えば上記の自動販売機(ヒートポンプ式)の年間消費電力が840kwhだったとします。
その場合の電気代の算出方法は840kwh/12=70(毎月の消費電力)となり、それから70kwhx24=1680円という計算をすると、月々の電気代の平均を出すことができます。
自動販売機の売上見込本数によってはメーカーが負担してくれる場合も?
自動販売機の設置で損をしないためには、「自動販売機の電気代を飲料メーカーまたは専業オペレーターに負担してもらうように提案依頼をすること」です。
例えば、通常の提案の場合はこうです。
人気のある場所への自動販売機の設置
・販売手数料:20%~25%
・設置一時金:3万円~5万円
毎月67本以上売ることができれば損をしない水準となっています。
式:電気代2000/1本150円の20%=67
人気がない場所への自動販売機の設置
・販売手数料:10%~15%
毎月134本以上売ることができれば損をしない水準となっています。
式:電気代2000円/1本150円の10%=134
人気のある場所への自動販売機の設置であっても、「周辺にコンビニやスーパーがあったらそんなに売れるかな?」「自販機の多い場所だと月に67本は厳しそう」と感じたり、人気がない場所への自動販売機の設置ともなると「134本も売れない月の方が多そう」などという不安を感じますよね。
この不安を払拭するためにも、自動販売機の電気代を飲料メーカーまたは専業オペレーターに負担をしてもらうように提案依頼をするのです。
毎月かかる約2000円の電気代を飲料メーカーまたは専業オペレーターに負担をしてもらうことができれば、販売手数料が下がってもこちらは全く損をしない仕組みを手に入れることができます。
もっと言ってしまえば、電気代を負担してもらうことで1本売れるだけでも黒字になります。
ですが、この提案依頼は必ずしも飲料メーカーや専業オペレーターに受け入れてもらえるものではないので、それを十分理解した上で自動販売機の設置をする前に相談を兼ねて提案依頼をするといいでしょう。
まとめ
自動販売機の設置は決して難しいことではありません。
むしろ日本は&qu;自動販売機大国&qu;とも言われているほど、多くの自動販売機がいたる所に設置されています。
ですが、企業や個人のオーナーさんが自動販売機の設置に悩む理由の1つが「電気代」です。
電気代というのは基本的に管理者が負担するものなので、毎月の電気代以上に商品を売らなければ自動販売機を設置した意味がありません。
こうしたことから自動販売機を設置した際にかかる電気代等についてこの記事では詳しく解説をしました。
選ぶ飲料メーカーや自動販売機の年代、電力会社などによって電気代を大幅に抑えることができるので、この機会に相見積もりや見直しをしてみてはいかがでしょうか。